北欧モダン住宅(10)

北欧モダン住宅(10)

前回に続き、北欧と関係ない構造のお話。

RC造(鉄筋コンクリート造)についてですが、マンションや公共建築物など、大規模で一定の強度と耐久性が必要な場合に採用されることが多い構造です。

他の構造と比べて耐久性は高いといえます。圧縮力に強いコンクリートは引張力に対しては弱いので、内部に鉄筋を入れて引張強度を補強し、構造体として成り立つようにしています。また、せん断力に対しても鉄筋の粘りが大きな力を発揮します。

鉄筋の弱点は、酸化による錆が原因で耐力が減少してしまうことですが、アルカリ性のコンクリートの内部にあることで錆も防ぐことができる、とても相性の良い構造。最初に考えた人を尊敬します。(^^)

重くて変形の少ない構造なので、地震や津波にも強い

耐火性も他の構造とは比べ物にならないくらい高いです。燃えないから。火災で倒壊ということがほぼ無いので、脱出できる可能性は高い。ただ、火災の発生時は躯体以外のものが燃えてしまうので、それなりに被害は出ますし、コンクリートの酸化が進み、強度も下がり、耐用年数が著しく減少します。

他には、構造躯体が重いので、音による振動が少なく、遮音性も高い

施工方法として、型枠にコンクリートを流し込んで造るため、隙間が少なく、気密性も高くなります。気密性が高いと湿り空気が滞留して、結露の原因になるので、適正な換気計画は必要になります。

そして、コンクリートは熱容量が大きいため、外気に対する室内の温度変化が少ない。ただこれは、一度温まったら冷めにくく、夏は夜まで暑いとか、冬はなかなか暖房が効かず底冷えするなどの原因にもなるので、それなりの対策が必要。

あとは、コストや施工性の面で、四角く作ることがほとんどですが、やる気になれば自由な形に作ることが可能

と、ここまでが、RC造のだいたいのメリット。(一部デメリットも併記しましたが)

デメリットとしてはまずコストが高い。しかも住宅レベルの小規模建築では、さらに割高になってしまう場合も多いので採用率が低くなります。

そして厄介なのが、ひび割れなどによる雨漏れ。他の構造のような傾斜屋根で雨を外に流す方式ではなく、傾斜の少ない平らな屋根に防水して、そこに溜まる雨水をドレインから落とす方式が多いため、防水が切れれば当然雨は漏れます。屋根に限らず壁からもひび割れを伝って雨がしみ込んで来たりもします。どこかで雨漏れが発生した場合に、発生源を特定するのが難しく補修に時間も費用もかかってしまいます。これは丁寧な施工管理等である程度は予防できるはずですが、実際現場では難しく、しっかり施工してもひび割れてしまうこともあり得ます。

他には、躯体完成後の穴あけが大変とか、躯体に打ち込んだ給排水配管等のメンテナンスや取り換えがやりづらいなどもデメリットになります。

トータルして考えてみると、メリットも多いかもしれないけど、強度や耐久性で言えば、住宅など小規模建築なら他の構造でも同等レベルまで性能を高めることは可能だし、高額な費用をかけるに値するかは疑問です。それに、デメリットもまあまあ難題が多い。

弊社が採用する木造(SE構法)と比べて、どちらを選ぶか考えても、僅差ではなく圧倒的な差でSE構法を選びます。

「RC造」も「SE構法」も構造計算で強度を確かめているので、耐震性は同じで、価格は相当お値打ちにできるし、住宅という用途上、コンクリートの固く冷たい空間より、木の優しく暖かい肌触りが何より代えがたい性能だから。

「やっぱり、手前味噌な結論につながるお話か?」と思った方もいるかもしれませんが、そういう贔屓目をなくして考えても、自分はSE構法を選ぶし、お客様には選んでほしいと思います。だからこそ、他の構造をやらない、SE構法専門店として独立開業したのだから(*^^)v

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次回はS造(鉄鋼造)について考えます。

 

 

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